水道水を沸騰させてもヨウ素は解決しない

ニュース(バラエティなのかなぁ)で
沸騰させてもダメか、視聴者が聞いていた。

その番組では「無駄」とだけ言ってたんだけど、
なんで「説明」しなかったのか、微妙。
聞く側が科学嫌いですかね。
なんて思ってしまうのは、偏見ですかね。

沸騰させても飛ばない

水よりもヨウ素の方が沸点が高い。
という事は蒸発しにくい。

極端に例えると
食塩水を沸騰させたら食塩が後に残る(濃い塩水ができてる)のと同じ。
減らすつもりが、むしろ濃くなる。

沸点
- 水 : 100度
- ヨウ素 : 180度
- 食塩 : 1400度

揮発に関して、実際に実験

東大病院放射線治療チームが、真偽をはっきりさせるための実験を報告しています。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/50751264211992576

これの前に
「高揮発性のおかげで、煮沸でOK」
というような議論があったみたいですが、
訂正が入ってます。
http://twitter.com/team_nakagawa/status/50718086290092032

沸騰させても放射性は無くならない

水の沸騰のエネルギーでは放射性をなくせない。

まず、物質の"放射性"は、その原子核から来ている。
物質というのは細かく切っていけば原子に行き着く。
原子は、原子の核"原子核"(そのまんま)と、それを取り巻く電子たちで構成されている。
いま話題になっているヨウ素からの放射線は、
原子核が変化する際の副産物として電子が生まれ
(原子が持っていた電子とは別物)
それが外に飛び出してきたもの。

沸騰のエネルギーでは、
原子を他の原子とくっつけたり、切り離したりしか出来きない。
他の原子とくっついても(あるいは離れても)、
ヨウ素原子の電子の位置が変わるくらいで、
原子核の構造まで変化させる事は出来ない。

ヨウ素を何かと化学反応させても放射性は無くならない

ヨウ素がどういうモノと化学反応しやすいかとか知らないんだけど、
化学反応は原子と原子のくっつき方が変わっているだけで、
いま問題にしている原子核は変化していない。

なのでヨウ素を何かとくっつけても、
そのヨウ素原子が放射性を持つ事には変わりない。

これは上の、沸騰させても放射性が無くならないのと
おなじスケールの話。

おまけ : 水道水の塩素は飛ぶ理由

水道水を沸騰させると残留塩素はどうなるの?

水道水の塩素臭さをなくすのに加熱するのは、
揮発させているもんだと思ってたけど、
この実験によれば、水道水中の他の物質と反応しているのが主な減少理由。
実験では、蒸留水 + 次亜塩素酸ナトリウム + 沸騰、では、残留塩素の量が減りにくいのに、水道水の場合だと有効、という結果。