停止した原子炉からの発熱量の計算

冷却の継続

制御棒が正しい位置にあるにも関わらず(あると思ってるんだけど)、冷却継続が必要なのが不思議だった。

自分なりの仮説。

発電しているのはウランの核分裂 -- 一個あたり200 MeV のエネルギー。

今問題なのはヨウ素ベータ崩壊 -- 一個あたり 0.9 MeV 。


↑は、
福島第一原発 ようやく理解できた基礎の基礎
の方の考えと同じだと思う。

追記 : 核分裂とか原発とかそこらへんの解説
どういうことかを定性的にわかりやすく説明。

概算

つじつまあうか、計算してみる。

数字は wikipedia とかから引っ張ってきたので、信頼できるか知らない。

原発の一年間の燃料が 100 [t] = 100 x 10^6 [g] らしい。
U235 を 200 [g/mol] としてしまって

100 x 10^6 [g] / 200 [g/mol] = 5 x 10^5 mol = 5^28 個

のウラン原子があることになる。

一年間で実質 10% くらいが発電に
使われると勝手に思うと、

5 x 10^27 回/year

のウラン崩壊が発電に使われることになる。

脇道にそれて確認。これからの発電量を見積もる。熱→電気の変換効率を 10% だと思うと、

5 x 10^27 回/year x 200 MeV x 10^(-19) [J/eV] / 10^7 [sec/year] x 10% = 1 GJ/s = 100万 kW

となり、この数は発電機の出力と比べて悪くない。


このウラン崩壊の際には約 3% で ヨウ素131 が作られる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Iodine-131

ヨウ素 131 は半減期が約 8 日なので、
原子炉が止まった時点で、 8 日分(8/365 = 2% )のヨウ素 131 が残っていたと考える

10^27 x 3% x 2% = 6 x 10 ^ 23 個

6^23 個のヨウ素半減期 8日 で 0.9 MeV(~ 1MeV として扱う) のベータ線を出して崩壊する。( N(t) = N(0) exp( - t / tau ) としてtau = 11.4 日になる。)

一秒間の崩壊割合( 1/10^6 )とβ線のエネルギー1MeV をかけた後、 単位を eV -> J に変換しておく。

6 x 10 ^ 23 個 x ( 1/ 10^6 )[/s] x 1 MeV x 10^(-19)[J/eV] = 6 x 10 ^4 [J/s]

このエネルギーで 0 度の水をどれだけ沸騰させれるか(気化熱抜きで)考える。
水の比熱が 4.2 [J/K]なので、1 gの水を沸騰させるには400 [J]が必要なので

6 x 10^4[J] /( 4 x 10^2 [J/g]) = 150 [g]

となる。1.5リットルのペットボトルの水が 10 秒で完全に沸騰する。


ヨウ素半減期 8日なので 100 日経つと (1/2)^{100/8} = 3 x 10^-4倍になるので、
一秒間の発熱は

6 x 10^4[J] x 3 x 10^(-4) ~ 2 x 10 [J]

とずいぶんましになる。

概算のメモ

ヨウ素131以外の寄与もあるので、もっと延びうる。